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日本みつばちを愛しすぎる玖珠のはちみつ農家|『福⑧堂』の吉武さん

『福⑧堂』のハチミツに出会ったのは、2019年の春。

たまたま別件でお邪魔していた玖珠のカフェ「ヤトカコーヒー」さんで試食をさせてもらったとき。

ハチミツなんて、ただの甘い嗜好品。そう思い、大人になって口にすることもほぼなく、いやむしろ食そうとも思わないで過ごしていた程度。

しかし、印象がガラッと変わりました。

 

ウマすぎるハチミツと吉武さんとの出会い

「このハチミツ、ウマいんですよー」

と、同行していた役場の職員さんがそう言うと…

「よかったらどうぞ」とお店の方に促されるので、小さなスプーンでちょっとだけ。

(え?ナニコレ?ハチミツってこんな味だったっけ?)

ウマいかどうかの判断もしきらないうちに、体中にジワーっと何かが流れてドキドキ興奮を感じたのを覚えています。(動悸じゃないよ)

「何コレ!ウマーーーい!!」

口内と脳内で祭りが始まったのかと感じるほど、そのウマさと体で感じた衝撃。表現が難しいですが…「エネルギー食ってるー!栄養食ってるー!」って感じでしょうか。

この『福⑧堂』のハチミツ、限られたところでしか販売されていないとのこと。量も限られるらしく、こだわりや思いを理解してくれる方にのみ販売をしているらしい。

玖珠町内ですら「ヤトカコーヒー」さんだけ。あとはイベント時などでの手売りのみ。お値段も50グラムの瓶詰めで850円ほど。なかなかの高級品!

このハチミツをつくっている方は、おそらく人目に触れない山奥で暮らし、さぞかし偏屈物の頑固者で、人を寄せ付けないオーラをプンプン放ち、人生の終盤を迎え、人との交流を避け、なんとも近寄りがたい人なんだろうな。

苦手だな。会わなくてもいいか。
いや、いろんな意味で合わないだろうな。

でも、ハチミツおいしかったな。ちょっと興味あるけど…。

「このハチミツつくってるのは“ヨシタケさん”って方で、東京からこっちに帰ってきてて。」

と、同行していた役場の職員さんに教えてもらいましたが…

やっぱりそうだ…都会の暮らしに嫌気がさし、玖珠の山奥で終の棲家として密かに怪しい村をつくり出そうとしているのかもしれない。ヤバい人かもしれないのでGoogle先生を起動する気もなく。

「機会があったら会ってみたらいいですよ。」

そう言われましたが、勝手な妄想でお腹いっぱいだったので「そうですね」と生返事をした程度。

ただ、あのハチミツの旨さと衝撃はずっと忘れられず、いつかどこかでバッタリ会うこともあるかな。

むしろ会ってみたいなと思いが強くなりだしてきた初夏のころ、たまたま他の集まりでお会いすることができました。

自己紹介を順にしていく中で…

「ハチミツをつくっているヨシタケです。」

まさか会えるとは覚悟していなかったので…

(いきなり会っちゃったー…!汗 いや…なにこのフンワリした好印象のお兄さん!)

これが、吉武さんと出会ったキッカケです。

 

『福⑧堂』吉武さんのハチミツとは?

初めてお会いしたとき、一番印象に残っているのは吉武さんが被っている帽子。

実はお会いする前日、たまたまあるお店で見かけて欲しいなと思ったものの、欲しかった色(吉武さんが被っている色)の在庫がなく、『楽○市場』で注文しようかなと思っていたもの。

ロゴの「K」も“かみ”の「K」ってことで、カツオ君のセーターの「K」みたいでいい感じだなーと思っておりましたが。もろ被りを避け、吉武さんとお会いして購入を断念した逸品です(笑)

好みが合うのかな、と勝手に思った次第。(この件は、吉武さんご本人にもお伝えしていないのですが)

本題に戻りまして…
まず、吉武さんは“養蜂家”というか『愛蜂家』。

吉武さんの紹介文を簡単にまとめますと↓な内容です。

市販されている国産はちみつは、日本蜜蜂が集めたものと西洋蜜蜂が集めたものに分けられます。西洋蜜蜂が年に数回収穫ができるのに対し、日本蜜蜂の収穫は年に一回。現在、日本蜜蜂のはちみつは一般市場に流通されている国産はちみつの1%にも満たなくなり幻のはちみつと云われています。日本蜜蜂は人の過度な管理を嫌う自然種。古くからここ九州・玖珠の森と共生をしてきた彼らの生命力や知恵を信じ、彼らが生活しやすい環境づくりのお手伝いをしています。人工的な餌に頼らず蜂たちが冬を過ごせるようはちみつの収穫量を制限し、彼らが一生懸命集めた自然の恵みをお裾分けしてもらっています。

“一般的な養蜂”とは、集蜜力の高い西洋蜜蜂を指します。

対して、吉武さんの場合は、野生の日本蜜蜂の生態と、巣箱の設置場所を考慮する程度。ほぼ自然の状態のハチミツを採取します。そのため、一般的な養蜂と比べて圧倒的に量が少なく、自然や気候が強く影響するため採れればラッキーの貴重な代物。

吉武さん:
西洋蜜蜂は蜜蜂の群れを養蜂家さんから購入し、人工的に増やしていきます。日本蜜蜂は自然界に生息する野生の蜜蜂です。巣(巣箱)は、必ず入る場所と全く入らない場所があり、蜜蜂が気にいってくれる場所の選定が楽しく、そこに入ってくれた時の喜びは最高です。 僕は、誘引剤や捕獲・移動・底板掃除・巣箱の内検・スズメバチ駆除等の自然界では起こり得ない不自然をやりません。それが蜜蜂と上手く付き合い、美味しいハチミツを分けてもらうコツだと思っています♪

そもそもハチミツが一般的に食されるようになったのは、ここ70年前ぐらいの話とのこと。それまでは、いまの吉武さんの手法と似たような形で日本蜜蜂のハチミツを「薬」として活用しており、時代とともに食文化の変化によって西洋蜜蜂の輸入・養蜂が盛んになってきたようです。

今ではなかなか簡単に手に入るものではなさそう。確かに“幻の”はちみつ。

しかしなぜ、吉武さんは手のかかる“はちみつ農家”になったのか?

せっかくなら量産して「ムフフ…」な生活を目指しても良さそうなものを…

 

異色の経歴から“はちみつ農家”へ転身するまで。

吉武さんは、玖珠生まれ玖珠育ちのお方。

高校を卒業後に上京し、とある“ネオンギラギラひしめく日本最大の歓楽街”で…(以下ご想像に…)

そして20代後半、“バイクスタントマン”になる。もともとバイク好きで、たまたま都内を走行中にすごいウィリーをしているバイクを発見。

あまりの“衝撃に”声をかけずにはいられなかったとのこと。自分もやってみたい!と思いが強くなり、指南を仰ぎ、その道にどっぷり。

ある筋から入手。おそらく吉武さんかな?

気づけば“バイクスタントマン”としての職業を確立。

映画やドラマなんかで役者さんの代役として出演したり、というのがメインの仕事。4~5年前まで活躍してたので、誰もが知っている作品や役者さんの代役してたり…

帰郷する直前までは、あの“タカとユージがドンパチやる映画”でバイクスタント&指導として携わっていたり、なかなかすごいお方。

(すごいぞ、吉武さん!1度でいいからスゴ技を生で拝見したい!)

そんな吉武さん、世間からすると花形に見える仕事をしていながら、とあるハチミツに出会ったそう。

そのハチミツのあまりのウマさに“衝撃”を受け、すっかりハチミツの虜に。自身でも日本蜜蜂のハチミツを採ってみたいと強く思うようになり、そのハチミツを作る方のもとへ何度も足を運ぶように。

師匠として指南を仰ぎ、地元である“玖珠”の森に可能性を感じ、東京から家族そろって移住を決意。(というか帰郷?)

そして“はちみつ農家”として『福⑧堂』をスタート。

このお方、“強い衝撃”を与えると思いもよらぬ方向に行ってしまうかもしれませんので注意が必要です。

 

どんな風にハチミツ採るの?採蜜現場に同行させていただきました!

吉武さんがつくる日本蜜蜂のハチミツは、年に1度しか採取できません。

毎年9月下旬~11月初めまで。気温、気候、湿度と日本蜜蜂の年間スケジュール(生態)をあわせて決定しているとのこと。

いろんな細やかな条件があるのですが、今回は伏せさせていただきます。(当然の秘密事項!)

吉武さんの巣箱は大きく分けて2パターン。あのよく見る“蜂の巣箱イメージ”とは違います。

ハチミツは蜂の巣(蜂の家)に蓄えられる栄養分。野生の日本蜜蜂が越冬するための貴重な資源です。

一般的な養蜂ではなるべく多くのハチミツを採取し、越冬用に人口の餌を与えます。対して、吉武さんの場合は「日本蜜蜂にハチミツを分けてもらうスタイル」に徹し、生態に考慮した採取を行います。

同行させていただき、特に印象的だったのが日本蜜蜂への声掛け。

巣箱を開ける際には、頂戴する旨をしっかりごあいさつ。採蜜の後は、丁寧なお礼のごあいさつ。

なんとも凛とする空気感。私も見習いたいもの。

自宅に入る前と出た後は…
女王蜂(妻&娘2人)に一緒の空気を吸わせてもらうことに感謝して…働き蜂として失礼のなきよう過ごしたいものです。

ホントは非公開ですが…工房にお邪魔させていただきました。

日本蜜蜂の巣箱から分けていただいた蜂の巣から、ハチミツを採取します。絞りだすのではなく、ゆっくり自然ろ過。

さっそくひと口いただきました!

やはりウマい!あの時と変わらぬ衝撃!

なんと、1匹の日本蜜蜂が集められるハチミツは、このひとさじ分だけ。その子の一生をペロッといただいてしまった感じで、ちょっと複雑な心境もありましたが…

「ホント貴重ですね!!!」

と、自分に言い聞かせるように声を張るしかできませんでした。ウマかったよ、ハニー。

巣箱はいろんなところに設置しているらしく、巣箱によってハチミツの糖度や味わいに違いがあります。

食べ比べさせていただきましたが、ハッキリわかる味の違い。どれもおいしいんですけどね。サイコーです。

おわりに

“はちみつ農家”として4年目を迎えた吉武さん。

自然そして野生と共存しなければならないため「マニュアル」や「テンプレート」があるわけではなく、試行錯誤、研究、経験と幾度の失敗の繰り返し。

そんなことをむしろ楽しそうに話している姿が印象的でした。

そしてなんと!吉武さんの採蜜見学会を開催!

詳しくはこちら↓↓↓

この貴重な機会にぜひ!

『福⑧堂』Facebookページはこちら!

 

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